妄想劇場 <蜜>


 望美はちいさな木箱の上に座らされて、ゆるい力でその足を広げられた。決して強い力ではないのに、逆らえない。足の間には弁慶が座り込み、ちょうど彼の目線の高さに望美の腰がある。
 弁慶は、襟ひとつ乱していない。望美も、一見いつもの着物のままだ。
 けれど今、下着はつけていない。弁慶に脱がされたのだ。今、望美の秘部を覆うものは、スカート一枚のみだ。隠すように、望美はスカートの端を握って、引っ張るように自分の足の間に手を置いている。だからそこは弁慶には見えていないだろう。けれど、腿は付け根付近までさらされている。
 はずかしい。たまらなくはずかしい。
「望美さん」
 弁慶の手が、望美の腿に触れる。はじめは膝付近に、それからたどるように付け根のほうへと。
「んっ……」
 膝と付け根のちょうど真ん中あたりに口付けられる。きつく吸われて、紅い痕が付く。
「手を、どけてくれませんか?」
 望美は顔を紅くした。手をどけろというのは、自分からそこを弁慶の目の前にさらすということだ。
 弁慶と体を重ねるのははじめてではない。けれどまだ片手で足りるくらいだ。自分からそんなことをするなんてできない。
「君が許してくれなければ、僕は君に触れられませんから」
 震える腿に顔を寄せていくつも痕をつけながら、弁慶が言う。
 そんなのは詭弁だ。望美が許すも許さないも、そんなことを考えられないように思考を奪って、そのまま体も奪っていったのは弁慶ではないか。
「望美さん」
 促すように、スカートのすそを掴んでいる指先に口付けられる。口付けるだけではなく、舌でなぞり、舐めあげる。ちょうど、いつも望美のその場所を、舐めるときのように。
「っ……!」
 いやでもその感触を思い出してしまう。体の奥がうずくのは、弁慶に教え込まれたせいだ。まだそんなに回を重ねたわけではないというのに、体にはしっかりと弁慶を刻み込まれてしまっている。
 おそるおそる、望美の手がその場所から離れる。スカートのすそを持ったまま、震える手を持ち上げ、弁慶にさらす。
「ありがとうございます」
 にこりと笑って言い、弁慶はそこに顔をうずめた。
「ああっ」
 望美の体が跳ね上がる。
「こんなに濡らして……いけない人ですね」
 まだ直接は触れられていなかったというのに、すでにそこは蜜を滴らせていた。


 END.