妄想劇場 <京都旅行おまけ>


「んあっ……やっ……」
 鏡夜が動くたびにやわらかなベッドが軋む音を上げる。音と共にベッドが揺れて、そのたびにハルヒの胎内で鏡夜のものの当たる角度が変わって、それが新たな刺激になる。
「どうだ、ハルヒ。『ベッドの使い心地』は?」
「ひゃっ……んっ、あっ……!」
 言いながらいっそう深く胎内をえぐられる。その刺激に、ハルヒは顔の横に置かれた鏡夜の手を強く握り締めた。
 鳳グループが新たに庶民向けに作ったというホテルは、華美すぎず質素すぎず、京都という土地柄を意識して所々に和風テイストを取り入れたきれいなホテルだった。
 モニターとしてそこに泊まり、部屋の使い心地などを鏡夜に伝えるのがハルヒの役目だ。しかし、食事を済ませて部屋に戻って早々に、部屋の使い心地を知る暇もなく、ハルヒは鏡夜に組み敷かれていた。
「このホテルは若者をメインターゲットにしているからな。『ベッドの使い心地』も重要だろう? おまえはモニターなんだから、ちゃんと教えてくれないとな」
「そんなの……っ」
 言葉になどしなくても、ハルヒの様子を見ていれば一目瞭然だろうに、わざと言葉で言わせようとする。
「この体勢じゃ分かりづらいか? これならどうだ?」
 言葉と共に、仰向けに寝ていた体を抱き起こされる。鏡夜の膝にまたがる形にされて下から突き上げられると、ベッドの揺れが突き上げる動きに加わって、よりいっそう快感が伝わってくる。
「ほら、どうなんだ? ハルヒ?」
「んんっ……やあっ……!」
 強すぎるほどの快感に、まともに言葉を発することも出来ずに、ハルヒはただ鏡夜にしがみついた。
 見た目は何の変哲もない普通のベッドだが、実際は外国の老舗寝具メーカーと協力して作られたというベッドは確かに最高の使い心地だった。



 ハルヒはくたりと疲れた体をベッドの上に投げ出していた。『ベッドの使い心地』を十分に試されて、体が泥のように重い。このまま眠ってしまおうかと疲れに目を閉じかけていると、鏡夜に軽々と抱き上げられた。
「鏡夜先輩?」
「さて、それじゃあ次は『風呂の使い心地』を試さないとな」
「えっ!?」
「モニターなんだから、ちゃんと仕事をしないとな」
 にこやかに微笑んでくる鏡夜に、ハルヒは顔を青ざめさせる。もがいたところで、鏡夜の腕から逃げられるはずもない。ハルヒはバスルームへと運ばれていく。
 ベッドと同様、きっと『風呂の使い心地』も、それはそれは最高なのだろう。ハルヒはあきらめたように溜息をひとつついて、鏡夜の首元に抱きついた。


 END