Wonderland

*アニメ13話ネタ

 奇妙なうさぎのぬいぐるみを追って行くと、ハルヒはいつのまにかプールの中にいた。
 まるで訳が分からない。ここはどこなのだろう。ついさっきまでは入学手続きのために桜蘭学院にいたはずなのに。一体何がどうなっているのか。ハルヒはまわりを見渡した。まわりは一面の青空だ。
 訳が分からないままとりあえずプールから上がると、プールサイドには眼鏡をかけた芋虫がいた。禍々しい紫のきのこの上に座り、長い管(くだ)を揺らめかせながら水煙草を吸っている。
「あの……」
「いっぱい泣いたな」
「え?」
 不意に芋虫に話しかけられて、ハルヒは驚く。
「このプールの水は、全部おまえが今まで流してきた心の涙だ。今までつらいことや寂しいことをいっぱい我慢してきたんだな」
「──なんのことですか?」
 ハルヒは首をかしげる。芋虫が何を言っているのか分からない。
「別につらいことなんてありませんよ。小さい頃にお母さんが死んで、それは哀しかったですけど、お父さんがいてくれるし、寂しいってことはないです。我慢なんかしてません」
 ハルヒは別に我慢なんかしていない。自分で出来ることをするのは当たり前だし、ひとりでいるのも嫌いじゃない。だからつらいことや寂しいことなんて何もない。
 きっぱりと言い切るハルヒを、眼鏡の奥から量るように芋虫は見つめていた。
「……まったく、素直じゃないな」
 芋虫が、ひとつ溜息をついた。それに合わせて、彼の口から煙草のけむりの代わりに色鮮やかな無数のシャボン玉が空へと浮かび上がっていく。
「さて、どうしようか」
 芋虫が吸っていたパイプを軽く動かすと、水煙草の管がまるで生きている蛇のようにうねってハルヒの体に巻きついた。動きを封じるように、上体を締め上げられる。
「なっ……!」
 そのまま管はうねって、空中に体を持ち上げられる。ハルヒが必死にもがいてみても体に巻きついた管はびくともしない。
「何するんですか!」
「そうだな、楽しいことでもしようか」
 芋虫が笑うと、体に巻きついた管がきつくなった。
 管はちょうどハルヒの胸の上下に巻きついて体に食いこんで、彼女の小さな胸を強調する。
「痛い……っ」
「おや、縛られて感じるなんて、お前はマゾヒストだな」
 手に持ったペンで、芋虫はハルヒのあごをくすぐる。
「何を……、そんなわけ……」
「違うのか? じゃあこれはなんだ?」
 あごをなぞっていたペンはハルヒののどを辿り、胸元へ落とされる。
 プールに落ちたときに濡れた制服は、肌に張り付いていた。その中で、小さな突起がその存在を主張している。薄いスポーツブラしかつけていなかったことを今更後悔しても遅い。
「こんなに乳首を尖らせて。感じているんだろう?」
 芋虫が、ペンの先で乳首をおしつぶす。かと思えばそっとなでるように触れたり、こねくり回すように動かしてくる。
「やっ……」
 身をよじろうとしてもしっかり巻きついた管のせいで身動きがとれない。触れられるたびに、乳首はどんどんとがって布を押し上げ、甘い息が漏れてしまう。そんなハルヒを芋虫は楽しげに眺めている。
 さんざんに服の上から胸を弄ったあと、芋虫はペンでスカートを指した。
「さて、こっちはどうかな?」
「なっ……」
 ペンの先をスカートのすそに引っ掛けて、だんだんと上へ持ち上げていく。もともと膝丈のスカートは、すぐに白い太ももがあらわになり、やがてその先の下着もあらわになる。
「やめてください……っ!」
 管がまた伸びてきて、宙に浮いたままだったハルヒの足をからめ取ると大きく開かせた。空中で体が仰向けになるように倒されて、芋虫の目の前で大きく足を広げる形になる。スカートは捲くれ上がり、体を隠す役目を微塵も果たしてはくれない。
 すべてをさらけ出すようなその体勢に、ハルヒは羞恥に顔を染める。足を閉じたくても、絡みついた水煙草の管のせいで動けない。
「おやおや、これはどうしたことかな? 感じてないと言う割にはずいぶんと濡れているようだが?」
「……っ!」
 口では何を言っていても、体は正直だ。芋虫の目の前にさらされたハルヒの下着は、はっきりとわかるほどに濡れていた。
 ペンの先で、下着の上からその場所をたどられる。
「やっ……」
 その刺激に体を震わせる。
「どうした、ハルヒ?」
 何度も何度も下着の上から弄られる。敏感な肉芽を押し潰したり、布越しに入り口にペンを浅く潜らせたりして、そうしてまた下着がどんどんと濡れてゆくのを、芋虫は楽しそうに眺めている。
「ふっ……」
 弄られるたびに、自分の秘処がもっととねだるように痙攣していることをハルヒは自覚していた。その様子は布越しでも、芋虫にもはっきり見えているだろう。
「おまえもそろそろ我慢できないようだな」
 秘処を覆う下着を横にずらされる。しとどに濡れたそこは芋虫の愛撫にとろけて、震えながらぱっくりと口を開いていた。
 そこに見える紅色の肉の中に、ペンが埋められていく。
「あっ──」
「ほら、どうだ? 気持ちいいだろう?」
 わざと音を立てるように、胎内に入れられたペンを激しく抜き差しされる。芋虫は的確にハルヒの感じる場所を擦ってくる。そのたびに、中空に押さえつけられたままの足が、びくりと震えて反り返ってしまう。
「あん、んんっ、……っふ」
「我慢するな。いっていいぞ」
 言葉と共に、いっそうペンの動きが激しくなる。奥まで突き入れられて、同時に敏感な入り口を弄られる。
「やっ……あっ、あ、ん──っ」
 こらえきれずに、中に入れられたペンをきつく締め付けながら、ハルヒは絶頂に達してしまった。
「ん……」
 荒い息を吐きながら、こわばっていた体がくたりと弛緩する。
 ペンを抜かれ、それと同時にハルヒの体にきつく絡まっていた管はゆるまって、そっと紫のきのこの上に横たえられる。
「大丈夫か」
 芋虫が、覆いかぶさるように顔を覗き込んでくる。けれどその姿はかすんでよく見えない。絶頂に達した余韻か、急に眠気が襲ってきて、ハルヒは目を開けていることが出来なかった。
「体はこんなに素直なのにな」
 やわらかく髪を梳かれる。その指の間を、自分の髪が滑っていくのを感じる。
 ああ、おかしい。これは誰の手だろう。白く霞がかって消えそうな頭で考える。
 芋虫の手は筒のような形になっていて、こんな指のある形ではなかったはずだ。それならこれは誰の手なのだろう。
 でも、この手を知っていると思った。長くてきれいで優しい指。
 それが誰か確かめたいと思うのに、まぶたは重く、目を開けることが出来ない。
「おまえはもっとわがままを言っていいんだ。つらいことがあるならつらいと、寂しいなら寂しいと言え」
 優しい手がハルヒの頭を撫でる。
(この人は、────)
 その感触を感じながら、ハルヒは眠りに落ちていった。



 ハルヒはぼんやりと目を覚ました。いつもの第三音楽室。窓からはやわらかな陽射しが入り込んでいる。
 ホスト部がはじまるまでのわずかな時間でも勉強しようと思って机に向かったはずが、いつの間にか突っ伏して眠ってしまっていたようだ。
「起きたか、ハルヒ」
 傍らには、いつもの黒いノートを持った鏡夜がいた。ハルヒは慌てて体を起こす。
「あ、すみません。自分、眠っちゃっていたみたいで」
 まだわずかに残る眠気を振り払うために目をこすれば、いつの間にか目の端にたまっていた涙が手についた。
「何か怖い夢でも見たのか?」
「え?」
 鏡夜の指が、そっとハルヒの目尻に触れる。
「すこしうなされていたようだったからな」
「──あっ!? あ、いえ、なんでもないです。大丈夫です、怖い夢なんて見てません」
 夢と言われ、ハルヒはわずかに顔を赤くする。
 あまりはっきりとは覚えていないが、かなり恥ずかしい夢を見てしまったような気がする。とてもではないが、人に言えないようないかがわしい夢だ。
(たしか、夢の中で──)
 そう考えて、ハルヒはますます顔を赤くした。
「そうか。それならいいが。ほら、ぼーっとしてないで、客を迎える準備をしろ」
 促すように、軽く頭に手を置かれる。その優しい感触を、どこかで感じたことがあるような気がした。あれは──。
「あの、鏡夜先輩」
「ん?」
「もしかして、自分が眠っているとき、何か言いましたか?」
「──なんのことだ?」
 鏡夜の表情は変わらない。その目を見つめてみても、眼鏡のむこうにある感情は読み取れなかった。
「……いいえ、なんでもないです」
 ハルヒはちいさく首を振った。
 あれはただの夢だったのか、そうでないのか。多分、どちらでもいいのだ。だってハルヒはここにいて、鏡夜がいて、他のみんなもいてくれるのだから。それだけで、十分だ。
 廊下の向こうから、少女達の笑い声が響いてくる。おそらくはここへ向かっている少女達のものだろう。ホスト部の営業開始だ。
「お客様だ。ほら、行くぞ、ハルヒ」
「はい!」
 ハルヒは満面の笑みで微笑んだ。


 END