しあわせの鳥籠
〜The blue bird's cage〜
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しあわせの青い鳥を、ずっと、探していたのです。
「工藤っ!!」
「新一っ!!」
胸を赤く紅く染めながら、彼がゆっくりと冷たいコンクリートの地面に倒れるのを。
私と同じように誰よりも彼を大切に想っている彼らが、彼の名前を叫びながら彼のもとへ駆け寄ってゆくのを。
私はただその場所に呆然と立ちすくんだまま、その光景を見つめていました。
何故でしょう。
何故なのでしょう。
何故、彼を撃ち抜いたちいさな拳銃は、その銃口から白い煙を細く立ち上らせながら、私のだらりと下げられた右手に、引っかかるようにぶらさがっているのでしょう。
何故。
何故私は、彼を撃ったのでしょう。
誰よりも、何よりも、彼が大切だったのに。
どうしてこんなことになってしまったのかと問われるならば。
私達は、ただ、ちいさな子供だったのです。
青い鳥を探して、からっぽの鳥籠を持って、深く暗い森をさまよう、ちいさな子供。
長い永い旅の末に、青い鳥が家にいたことにやっと気付いたのに。
私達はいつのまにか遠く遠くへと来ていて。
家への帰り道が、もう分からなくなっていたのです。
私達の鳥籠は、今もからっぽのまま。
ただ、青い鳥を探していたのです。
ただ、あなたを愛していたのです。
すべてはただ。
それだけなのです。
To be continued.
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