風化風葬 (5)


 キッド捕獲に行った新一が倒れたと聞いて、いてもたってもいられずに、平次は平日であるにもかかわらず東京へと向かっていた。
 学校もなにもかもを放ってきた。無茶は承知だった。帰れば、けじめや決まり事に厳しい両親や、学校の担任などから、怒られるだろうことは覚悟していた。けれど新一が倒れたと聞いて、どうしても、いても立ってもいられなかったのだ。あのまま大阪にとどまり、悠長に学校に行ってることなど出来はしなかった。
 新一が倒れたとの連絡を平次にくれたのは、倒れた本人でもなじみの警部でもなく、意外にも、工藤邸の隣家に住む宮野志保だった。
 キッド捕獲に行って倒れた新一は、その後すぐに目を覚ました。しかし、キッドと対峙したときに何かされたのか、何処か怪我でもしたのかと、警察の面々はかなり心配をしたが、外傷は何もなく、新一本人の『最近の過労が、キッドと対峙した極度の緊張で一気に出た』という言葉により、そのまま過労で片付けられた。
 けれど志保は、もしかしたら薬の影響ではと、新一を心配したのだ。身体を幼児化させるというような毒薬も、それをもとに戻した解毒剤も、はっきりいって製作者にとっても未知のものであるのだ。今は安定しているとはいえ、いつ何処で、どんなきっかけで、どんな影響が出るか分からない。
 だから彼女は、ほぼ無理矢理彼を捕まえて、いろいろな面から検査をしたらしい。いろいろな面から、というあたりがあやしいと思うが、とにもかくにも、それによって出された彼女の結論は、平次を呼び寄せるというものだった。
『多分、あなたがいたほうが、何かといいだろうから』
 平次にかけてきた電話で、志保はそう言った。
「なんやそれ。なんか変な症状でも出とるんか?」
『工藤君に、怪我やその他の外傷、何らかの薬を投与された形跡なんかはなかったわ。アポトキシンや、その解毒剤による副作用でもないみたい』
「じゃあなんで工藤は倒れたんや」
『倒れたのは、おそらくは精神的なものじゃないかしら』
「精神的、て」
『何があったのかは分からないわ。工藤君も、何も言ってくれないし。──でも、あれからずっと様子がおかしいのよ。前から、情緒不安定になることはあったけど、今はそれがひどいの。私じゃ、助けられない』
 志保の声は、いつもと変わらず平坦だったが、そのなかに何処か切羽詰った響きを感じていた。
 その電話を受けて、平次は取るものもとりあえず、大阪を出て東京へ向かったのだった。
 愛用のバイクを飛ばし、やっと辿り着いた工藤邸は、まだ宵の口といっても差し支えない時間であるにもかかわらず、静まり返っていた。どの部屋にも明かりがついていない。
 いないのかと思って渡されている合鍵で中に入ると、玄関に新一の靴はある。
「工藤? おるんか? 邪魔するで」
 呼びかけて家に上がっても、何の反応もない。電気をつけながらリビングやキッチンなどを見てまわっても、新一の姿は見つけられない。
「おらんのか? 工藤?」
 1階を探し終え、2階に上がる。2階には、新一の部屋と、いつも自分が使っている客室と、普段は使われていない工藤夫妻の寝室がある。
「工藤……っと」
 ノックもせずに新一の部屋を開けると、やはり電気が付いておらず薄暗かったが、そのなかでも、人の形にもりあがった布団を見つけた。
 新一は自分の部屋で眠っていた。
 平次は新一の姿を見つけられたことに、まず安堵する。傍によって寝顔を覗き込んでみても、具合が悪いなどということではないようだ。顔色も悪くないし、呼吸も安定している。ただ眠っているだけのようだ。
 けれど、それと同時に、その様子に不安も湧き上がる。
 部屋の電気が付いていないということは、まだ明るい昼間から、ずっと寝ていたのだろう。今日は平日だ。新一にだって、学校が会っただろうに。
『あれからずっと、様子がおかしいの』
 志保の言葉が、耳の奥でよみがえる。
(キッドと、何かあったんか?)
 新一の寝顔を眺めながら、心の中で問いかける。
 別に、今寝ているのも、ゆうべ遅くまで本に夢中になっていて、学校をサボって寝ていた、というのならそれはそれでかまわないのだ。明け方まで事件に駆り出されていた、とか。このあいだ倒れたのだって、本当に過労だというのなら、体が心配だが、それはそれでいいのだ。そのほうが、どんなにいいだろう。
 けれど、そんなことが理由ではないような気がしていた。
 どうしても、キッドが何かかかわっているような気がしていた。
 新一が倒れたというあのとき、おそらくは、何かあったのだ。
 そのときキッドは、予告しておきながら、結局予告現場に現われることも、宝石を盗むこともなく、ただ協力を要請された探偵の前にのみ姿を現して去っていた。その行動に中森警部をはじめ警察は首をひねっていた。そんなことは、前例のないことだったから。
 けれど、前回自分を追い詰めたのはどんな相手か確かめに行って臆して逃げたのではないか、とか、はっきり言わないが新一が何らかの手段を使ってキッドを追い払ったのではないか、とか、さまざまな憶測が飛び交い、勝手に結論付けていた。
 真相など、誰も知りはしない。そこで何があったのかも。キッドの本当の目的も。
 キッドと、新一以外には。
(何が、あったん?)
 こんなことなら、あのとき無理にでもとめておくんだった。あるいは、無理にでもこちらに来ていればよかった。新一を、キッドなどに会わせるのではなかった。
「──……いと」
 ふと、身じろいだ新一のくちびるから、ちいさな声が漏れた。それはちいさく不明瞭で、平次はなんと言っていたのか、はっきり聞き取ることができなかった。
 けれど、眠りのうちにあってなお、新一の眉はつらそうにひそめられ、その腕は何かを失うことを恐れるようにきつくシーツを握り締めていた。
(誰の夢を、見てるん?)
「──……と……、……いで……──」
 閉ざされている新一の瞳から、涙がこぼれていった。
 どんな夢を見ているかなんて、分かるはずもない。けれどこぼれた名前ははっきり聞き取れなかったが、平次の名ではなかった。他の、誰かを呼んでいた。
「工藤。工藤」
 たまらずに、乱暴に、新一の肩を掴んで揺さぶる。彼を、夢の世界から引き戻したかった。自分を見て欲しかった。他の誰かのことなど、想わないで。
 数度揺さぶると、新一のまつげが震え、それからゆっくりと瞳が開かれた。まだ眠りの淵から完全に戻っていないのか、澄んだ蒼い瞳が正しく焦点を合わせないまま平次を映す。
「目ぇ覚めたん?」
「……はっとり……?」
 何度かおおきく瞬いたあと、新一は平次を認識したようだった。
 状況がまだよく分かっていないような状態で、新一はベッドの上に身体を起こす。彼が長く眠っていたことを示すように、髪は寝癖でわずかにもつれたりはねたりしていた。
 平次が何故ここにいるのかを問うよりも先に、新一は何かを探すように、必死で部屋中に首をめぐらせる。けれど、そこには平次と新一しかいない。探す『誰か』は何処にも見つけられない。
「──……」
 目を覚ましたときに一度とまったはずの涙が、新一の瞳からまたあふれだす。そのままちいさな子供のように泣きじゃくりだす。
「工藤。くどう」
 平次は新一をなだめるように、そっと肩に腕を回して、自分の胸の中へと抱き寄せた。
「どないしたん? 怖い夢でも見たんか?」
 あやすようにそっと髪をなでながら尋ねると、新一はしゃくりあげながら答える。
「違う。おぼえてないんだ。夢を見たのに、覚えていないんだ。なにか、とても大切なことだったのに」
 しゃくりあげるせいで途切れがちになる声が、それでも告げる。
「俺、何かを忘れてるんだ。何を忘れているのか思い出せないけど、何か大切なこと忘れてるってことだけ思い出した。思い出せないんだ。それは俺にとってすごくすごくたいせつなものだったのに」
 白く靄がかかるように、あるいは薄闇に飲み込まれてしまうように、記憶の一部が欠けている。思い出そうと必死になるのに、それを思い出すことができない。それは追いかけても追いかけても届かない虹の根元のように。
 夢の中でならそれを覚えているのに、目を覚ましたときには、もう覚えていない。思い出すことができない。
 駄々をこねる子供のように、新一は泣きながら、何かを思い出そうと必死に頭を振る。やわらかな髪が、乱暴な動きに揺れてもつれる。
「俺、思い出さなくちゃいけないのに」
「工藤」
 知らず、抱きしめる腕に力がこもる。新一の言葉が、平次の恐怖をあおる。
 それは、平次が怖れていたことだ。
 新一が、なくした『なにか』を取り戻すこと。
 そうしたらきっと、新一は平次から離れていってしまう。この腕から消えてしまう。
 新一が平次を求めたのは、そのなくした何かを埋めるためだから。代用品は、代用品。本物が手に入ったなら、いらなくなってしまうのだ。
「工藤、そんなん思い出さんでええ」
 懇願するように、新一に言い聞かせる。思い出して欲しくなかった。何処にも行かないで欲しかった。
 けれど、そんな平次の想いを否定するかのように新一は泣きじゃくる。
「駄目だ。俺は思い出さなきゃ駄目なんだ。だってそれは、ものすごく大事なことだから」
 平次は、自分の胸の苦しさをそのまま新一にぶつけるかのように、腕の中の彼をきつくきつく抱きしめた。彼が、この腕の中から、こぼれていってしまわないように。
「思い出さんで。頼むから、思い出したりせんで──」
 新一が何をなくしているのか、何を思い出そうとしているのか、平次には分からない。
 ただ分かるのは、それに、怪盗キッドが関係しているだろうということ。
 コナンであったころに、また、コナンになる前に、彼が何度かキッドと対峙しているということは知ってる。そこで何かあったのか、あるいはそれ以外で何かあったのか。それは分からないが。
「工藤。なんにも思い出さんでええ。思い出さんで。何処にも、行かんといて──」
 きつくきつく彼を抱きしめながら、平次は繰り返す。けれどその言葉は新一に届いているのかいないのか、その涙がとまることはない。平次にしがみつきながら、ずっと子供のように泣きじゃくっていた。
 やがて、泣きつづける新一が、いつのまにか、また眠りの淵に落ちてしまうまで──。



 それはいつの季節のことだったのか。新一にはよく分からない。はっきりと覚えていない。
 夜中に薄いパジャマ一枚で寒くはなかったのだから、真冬ではなかっただろう。けれど、冬の空のように空は澄んでいて、そこに浮かぶ満月が冴え冴えとしていた。
 実年齢で、コナンと同じ姿だったころのことだ。
 すでにホームズには憧れていたけれど、探偵になるということはまだ遠い夢でしかなかった、あのころ。
 あのころは両親もまだ日本で暮らしていて、いつものように家族で夕食をとり、いつものように、新一は自分の部屋のベッドに入った。個人と自立を尊重する工藤家では、幼い新一にも部屋が与えられており、ひとりで寝るのが常だった。布団にもぐった新一は、すぐに眠りの世界に誘われた。
 別に、いつもと変わらない日だった。いつもどおりの夜だった。
 けれど、それからどれだけ時間が経ったのか、新一は夜中にふと目を覚ましたのだ。いつも眠りは深いほうで、夜中に目を覚ますなんてことはないのに。何か怖い夢を見たわけでもないのに。
 もしどうしても理由をつけるとするなら、ちょうど窓から入り込んだ満月の光が、眩しかったのかもしれない。
(……なに?)
 特に理由があったわけではない。それでも何故だか、そのままもういちど眠る気になれなかった。あるはずの眠気は、いつのまにかどこかに消えていた。
 ちいさな子供にとって、夜は暗くて静かで怖いはずなのに、その夜は満月の光が何処もかしこも照らし出していて、怖くはなかった。淡い光は見慣れたはずの景色を不思議な色合いに映し出して、まるでアリスが迷い込んだ鏡の国の部屋のように不思議な感じがした。
 何かに誘われるように、新一は自分の部屋を出た。静かな夜のなかに、自分の裸足のちいさな足が廊下を踏むぺたぺたという音だけがちいさく響いていた。
 階段を下りた先はリビングだ。リビングは庭に面して、壁一面に大きく窓になっている。満月の明かりも窓から余すところなく入り込んで、フローリングの床には窓の形に光が落とされていた。
 その四角いスポットライトのなかに、人の形の影が入り込んでいた。
(誰か、いる)
 本当なら、両親の部屋へ、庭に不審者がいると呼びに行かなければいけないはずだった。それくらいは考えられるくらい、新一は賢い子供だった。けれどそのときは、両親のことなど、カケラも思い浮かばなかったのだ。現実感のない月の光が、それを夢だと思わせていたのかもしれない。
 新一は恐怖もなく窓へと近寄っていった。
 するとそこに、白い衣装を来た男の人がいたのだ。
 泥棒かもしれないと脅えるより早く、その姿に目を奪われる。
 月の光を受けて白い衣装は淡く輝き、その姿を映えさせていた。吹く風にたなびくように揺れるマントは、波のような影を作って、幻想のように揺れていた。
 幻想的なその姿は、現実感を伴わず、まるでおとぎ話の登場人物が本から抜け出てそこにいるようだった。今、時計を持ったウサギが飛び出してきても、新一は不思議に思わなかっただろう。
 からりと窓を開けて、そのひとと自分とをへだてているものをなくした。もっと近くで見てみたかったのだ。その不思議な人を。
『──おや、起こしてしまったかな?』
 そのひとは新一を振り返った。気配に気付いていたのか、そこにいる子供に驚くでもなく逃げるでもなく、楽しげに話しかけてきた。
『…………だあれ?』
 新一の問いに、ふわりと優雅にマントをなびかせて、彼は新一の前に片膝をついた。まるでおとぎ話の騎士がそうするかのように。
『ご紹介が遅れました。私はキッドと申します。今宵あなたの眠りを妨げてしまったことをお許しください』
 深く頭をたれて、新一に礼をとる。
 それから新一の前に白い手袋に覆われた手を差し出した。彼の指がぱちんと音を鳴らすと、何もなかったはずの手にベビーローズが現われた。
 新一はその魔法に目を見張る。差し出されたそれを受け取って触ってみても、確かに本物で、急に中空に現われたようにしか思えなかった。
『すごい。おじさん、魔法使いなの?』
 そう尋いたら、彼は綺麗に切りそろえられた口元の髭を揺らしながらうれしそうに笑った。
『魔法使いか。それは最高の誉め言葉だな』
 こんな不思議な月夜なのだ。魔法使いが現われても、おかしくはないと思った。彼はきっと、魔法使いなのだ。
 それから魔法使いは新一にいくつも『魔法』を見せてくれた。手のひらから星を出したり、リボンを一瞬で花に変えてしまったり。新一はその不思議に夢中になった。もっともっとと魔法使いにねだり、魔法使いは笑ってそれに応えてくれた。
 それをどれほど続けたのか、新一はいつどうやって自分がベッドに戻ったのか、よく覚えていなかった。
 目が覚めたときは、自分のベッドの中で、いつもどおりの朝を迎えていた。
 ゆうべ見たものは、魔法使いに会ったことは夢だったのかと新一は眠い目をこすりながら思った。
 けれど、新一の目は、ベッドサイドにあるものを見つけて動きを止めた。
 ベッドサイドに置かれた、ベビーローズ。朝の光の中でも、消えてなくなったりしない。それはたしかに昨日魔法使いにもらったものだった。
 あれは、夢などではなかったのだ。魔法使いは、確かにいたのだ。
『とうさん、かあさん! あのね、昨日、僕、魔法使いに逢ったんだよ!!』
 朝の挨拶もせずに、リビングへ駆け下りた新一は、朝食の準備をしている母親と、新聞を読んでいる父親に、自慢げにそう告げた。その証拠とばかりに、手に持ったベビーローズを誇らしげに掲げながら。
 その言葉に驚いたように一瞬目を丸くしていた父親は、けれど息子を莫迦にするようなことも夢でも見たんだろうとあしらうこともなく、すぐに笑顔になって息子を膝に抱き上げた。
『そうか。魔法使いに逢ったのか。魔法を見せてもらったかい?』
『うんっ。この花もね、魔法で出したんだよ。他にもね、いろいろ見せてもらったんだよ』
 新一は、ゆうべ見た魔法使いの魔法がどんなにすごかったか、どんなに素敵だったか、精一杯伝えようとおさない語彙で、必死に言い募った。優作もそれに笑顔でうなずきながらちゃんと聞いてくれた。
 大体語り終え、新一が一息つくのを待って、それから優作はまっすぐに息子のおおきな瞳を覗きこみ、言い聞かせるように言った。
『よかったな、魔法使いに逢えて。でも、新一。魔法使いに会ったことは、皆には内緒だよ。なんせ、相手は魔法使いなんだからね。皆に知られたら、もうここには来てくれないかもしれないだろう』
 それはそうかもしれないと、幼い新一は納得した。おとぎ話のなかで、妖精に逢ったことをばらした男はもう二度と妖精に逢えなかったし、秘密を守れなくて哀しい結末になる話はたくさんある。きっと魔法使いもそうなのだろう。
 新一はまた魔法使いに逢いたかったし、秘密を守れる賢い子供だった。だから、両親以外、誰にも魔法使いのことは言わなかった。
 魔法使いは、それからたびたび月の夜に新一の前に現われた。そのたびに、素敵な魔法を見せてくれた。魔法だけでなく、彼は話もうまくて、新一にとって魔法使いと過ごす時間は本当に楽しいものだった。
 新一は、魔法使いが大好きだった。
『私には、君と同い年の子供がいるんだよ』
 ある夜訪れた魔法使いはそんなことを言った。
『その子も、魔法使いなの?』
『まだ魔法の修行中というところかな』
 同い年の、見習いの魔法使いは、どんな子なのだろう。新一はそう考えて、心を躍らせていた。その子もきっと、素敵な魔法を見せてくれるに違いない。もしかしたらちょっと失敗したりもするかもしれないけど──それもまた、おかしい。
『会いたいな。会ったら、友達になれるかな』
『ああ。きっと友達になれるさ』
『じゃあ今度逢わせてね! 約束だよ』
 新一は、月明かりを受けて青白く見える手袋に包まれた指と、指切りをした。
 本当は、新一にも、彼が本当の魔法使いでないことは分かりはじめていたのだ。『魔法』にタネがあることも。彼が、本当は誰なのかも。新一は、普通の子供以上に、賢い子供だったから。真実を見つける瞳を持っていたから。
 魔法使いは、本当は──。
 でも、彼は新一にとって『魔法使い』だった。それでよかった。
 彼が、大好きだった。


 けれど──あの日、魔法使いは消えてしまった。
 新一の、せいで。
 天才マジシャン黒羽盗一が、マジック中に『事故死』した日だった。


 ──そして。
 それから8年後。
 同じ姿の、同じ名前の、白い魔法使いが、街に現われて──。



 To be continued.

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